ピジョンが目指す人事給与システム統合--グループ全体での人事業務の「見える化」と効率向上を実現
ピジョンでは現在、2010年3月を目標にした国内グループ全社での人事給与システムの統合に取り組んでいる。それぞれに制度や運用が異なるグループ会社のシステムを統合するにあたって同社が選択したのはクレオの「ZeeM人事給与」だった。
柴田克己(編集部) 2009年8月28日 09時00分
http://japan.zdnet.com/sp/case/story/0,2000056379,20399012,00.htm
子育てを経験した女性や、乳児が近くにいる環境で生活している人にはなじみがあるだろう「ほ乳器」。1950年代に、このほ乳器の製造、販売から事業をスタートしたピジョンは、現在、育児用品、マタニティ用品の製造、販売、輸出入をはじめ、女性ケア用品、ホームヘルスケア事業、介護用品事業、保育事業などを幅広く手がけている。国内7社、海外6社の関連会社を持ち、連結ベースで530億円(2009年1月期)の年間売上を計上するグローバルな企業となっている。
同社では現在、2010年3月を目標にした国内グループ全社での人事給与システムの統合に取り組んでいる。
「2005年から2006年にかけて、システムの刷新について検討を開始した。刷新の理由には、外的なものと内的なものがあり、内部統制への対応と人事給与業務の効率化へのニーズが大きかった」と話すのは、ピジョン、人事総務部の若山直樹氏だ。
ピジョン、人事総務部の若山直樹氏 若山氏が言う「外部的な要因」とは、当時、対応が急務とされていた金融商品取引法の改正(J-SOX法)や個人情報保護法といった新たな法令でうたわれていた、「内部統制」を実施するためのシステム作りが必要だった点だ。従来利用していたシステムではそうした新たな法制に柔軟に対応することは難しく、新たなシステムの導入が望まれていた。
一方の「内部的な要因」は、ピジョンが展開しているグループ各社の業容拡大によるものである。同社では、従来からの主軸事業である育児、マタニティ用品の製造、販売に加え、介護事業、ホームヘルスケア事業、保育事業などに積極的に注力してきた。
その結果として、国内のグループ会社の従業員は増加した。加えて、グループ各社で運用されていた人事制度や雇用形態は多岐にわたり、人事管理業務の手間が増大するとともに、グループ各社での人事制度の運用実態を、本社で把握することさえも難しくなっていたという。
これらの問題に対処するため、グループ全社の人事給与業務を包括的に管理し、増加した業務を効率化するシステムの構築が求められていたという。
グループ会社管理が可能なZeeMを選択
ピジョンでは、グループ統制を実現することを目的にパッケージソフトを検討し、クレオの「ZeeM人事給与」を人事給与システム基盤として導入することを決めた。選択のポイントとなったのは「グループ会社管理機能」「人事給与データの収集機能」「社内開発の効率化」の3点であるという。
最大のポイントとなったのは「グループ会社管理機能」だった。「これまで、グループ会社ごとに独自の運用を行っていた雇用形態、勤務形態、制度を柔軟に吸収し、かつ本社が統制を利かせることが可能なシステムを構築できるのはZeeMだけだった」と若山氏は言う。
ZeeM人事給与の導入により、システムの基盤を統一した上で、グループ会社それぞれに異なる制度の適用については、マスタの分割を行うことで対応できるようになった。「従来のシステムでは、マスタ分割が難しく、ある会社の制度を変更すると、それが他社の設定にまで影響を与えてしまうことがあった」(若山氏)と言う。ZeeM人事給与の導入以降は、そうした切り分けがマスタ分割によって容易に行え、かつ、各社の制度運用を見通せる統制環境が構築されたという。
「この環境ができたことで、人事制度に関するグループ企業間の調整が可能になった。例えば、福利厚生の一環としての子育て支援制度の導入など、グループ各社が従業員にとってより魅力的な人事制度を導入したいと考えた場合のコンサルタント的な役割を、本社の人事部門が果たせるようになった」(若山氏)
会社ごとに個別に運用されていた人事給与システムの基盤をZeeMに統一し、各社の制度と運用状況を見通せる環境を構築した。
また、人事給与に関するデータの柔軟な収集機能も選択のポイントとなった。従来のシステムでは、データの抽出条件が複雑で、必要に応じたデータの収集や加工に手間がかかっていた。また、時間軸をさかのぼるような情報抽出が思うようにできず、結果的にそうした業務は属人性が高くなってしまっていた。ZeeM人事給与では、標準で用意されている「任意検索」機能を使うことで、これらの問題を解決できたという。
合わせて、人事給与システムと、外部システムとのデータ連携の容易さも重要だった。ZeeM人事給与では、DBテーブルのレイアウトが公開されており、それをもとにした社内での開発やカスタマイズ作業が、従来よりも低コストで可能になったという。これにより、従来のシステムでは容易に着手できなかった、人事制度の改訂や細かい運用変更にも柔軟に対応できるようになった。
こうしたシステム面での改良は、人事給与業務の改善に貢献した。グループ全体での業務を見渡せるようになったことで、コンプライアンスの強化を図ると同時に、定型業務については標準化を検討できる下地ができた。また、制度変更や法制対応についてのアドホックな要求にも、従来より短時間で対応できる仕組みができあがった。各種の人事関連資料を容易に出力できるようになったことと合わせて、開発保守費用の削減、個別システムへの二重入力による、人為的ミスの発生リスクを低減できたという。
システム統合でグループ全体での人事戦略推進が可能に
ピジョンでは、2009年8月時点で国内のグループ企業5社の人事給与システム基盤について、ZeeMでの統合を完了している。実際に統合を行ってからの社内の反応も良いという。
情報システム部門においては、システム連携や社内開発、カスタマイズの容易さが評価されている。また、グループ会社の人事給与担当者からは、統一されたシステムにより法令改正などへの対応遅れの心配がなくなった点や、給与業務での時間短縮と品質向上が実現した点が好評だという。
「システムを統合したことで、グループ会社の人事給与担当者が何らかの相談をしたいときに、本社にすぐに相談できる体制ができた。また、システム入れ替えの過程で各社の人事担当者との意思疎通が図れたことも大きい。これで、ピジョンの人事戦略をグループ全体で考えられる状況ができた」(若山氏)
そして、経営部門からも、グループ全体で業務フローと運用フローの統一が実現できた点を高く評価されているという。
同社では、現状5社で統合しているシステムを、2010年3月を目標に、国内のグループ会社7社に適用する準備を進めている。この統合が完了すれば、人事に関する様々なデータの分析を通じた、人件費の最適化や給与業務の標準化を、グループ全体の規模で進めていくことが可能になる。
「1社で1時間の業務改善を実現すれば、それを国内グループ7社に適用することで7時間の業務改善になる。データの可視化、業務の標準化を通じて、さらなる経営効率の向上に取り組んでいきたい」と若山氏は今後の展望を語った。
事例プロフィール(2009年8月現在)
社名 ピジョン株式会社
本社所在地 東京都中央区
資本金 51億9959万円
代表取締役社長 大越昭夫
事業内容 育児・マタニティ・女性ケア・ホームヘルスケア・介護用品等の製造、販売および輸出入、ならびに保育事業
導入前の問題 グループ会社の業容拡大により、人事関連業務の負荷が増大。また、それぞれに個別の人事給与システムを利用していたため、グループ会社での人事制度の運用実態などが本部で把握できなくなっていた。また、法制度に基づいた内部統制環境の構築が必要とされた。
導入した製品 ZeeM人事給与(クレオ)
導入結果 2009年8月現在で国内5社のシステム統合を完了。各社で異なる人事制度を吸収しつつ、運用状況を見通せる体制が整った。また、グループを通じた業務内容の標準化が可能になり、業務効率が向上した。
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