情報保管にまつわる10の掟
適切なデータの保管・廃棄ポリシーが企業を救う
(2009年08月26日)
http://www.computerworld.jp/topics/vs/148329.html
大企業が抱える係争中の裁判件数は500を超えると言われる米国では、IT技術管理者が電子情報の保管・廃棄戦略を主導するようになっている。今日のコンプライアンス時代においては、日本企業も情報の保管にかかわるポリシーをしっかり定めておく必要があるだろう。本稿で述べる米国の例を基に各自に適したポリシーの立案を実行していただきたい。
ポール・ダーシー/Networkworld.com
どう管理するかだけでなく
どれを管理するかもムズカシイ
近年、米国において連邦民事訴訟規則が改正されたのを受けて、企業の法務部はIT部門の責任者に電子情報の保管、廃棄、検索、復旧の統制を求めるようになった。つまり、大企業のIT管理現場においては、何十億件もの電子メールやデータベース、デスクトップ・ファイルを、何千台ものサーバやデスクトップPC間で移動させるたびに、その所在を把握しておかねばならないという意味だ。
当然のことながら、多くの組織では、データを管理する方法と同様に保持対象とするデータの選別にも頭を悩ませている。本稿では、電子的に保存された情報の保管と廃棄のためのガイドライン10項目を紹介しよう。
まずは現状を把握せよ
こと電子情報の保管に関しては、企業が多大な自由裁量権を握っている。現在の連邦民事訴訟規則では、一定のポリシーを設けることが推奨されているが、データを保管しておく期間までは決められていない。電子メールやその他の情報に心配な点があるならば、即座に削除してしまおう。ビジネスに有益だと判断したものならば、価値があるかぎり保管しておけばよい。
ユーザーに保管対象を決定させるな
保管するメッセージやドキュメントの選別をユーザーに任せている場合、それは保管ポリシーを定めていないのと同じことになる。適切な保管ポリシーとは、電子情報の保存を自動的に行い、明文化された規定に従って書類の廃棄を命じるものだ。
訴訟にかかるコストを知るべし
国際法律事務所フルブライト・アンド・ジャウォースキーによれば、現在の平均的な10億ドル規模企業は、個別の訴訟を500件以上抱えているのだという。電子情報開示には、訴訟1件ごとに数十万ドルから、悪くすれば数百万ドルかかることもある。ここでミスを犯すと、勝てる見込みがどれだけあっても、訴訟の提訴根拠が失われるおそれがあるのだ。
免責条項を活用せよ
現在の米国の裁判所規則では、標準的な保管ポリシーを運用している組織にかぎり、裁判とは無関係の情報を罰を受けずに廃棄することができる。正式な保管ポリシーがなければ、どのような情報であっても、これを削除した組織は裁判所で罪に問われてしまう。
規制条件を常に念頭に
米国労働安全衛生管理局(Occupational Safety and Health Administration:OSHA)法やSOX法(Sarbanes-Oxley Act)、公正労働基準法など、無数の都市条例、州法、連邦法が電子記録の保管を定めている。適切な訴訟対策としては、電子メールを60日間保管しておくのが一般的だと思われるが、規制がそれ以上の期間を求めてきたときに備えて、ポリシーに例外が設けられていることを確認しておこう。
電子情報開示の準備は今すぐ
訴えを起こされた場合、その直後に必要になるのが電子情報開示だ。数週間以内に何十億件ものメッセージや関連データファイルを見つけ出さねばならないケースも、ざらにある。電子情報開示の準備ができていない企業では、人力でデータを探し、回収するためのコストが跳ね上がること必死である。
弁護士の最初の獲物――電子メールから始める
データベース、サーバやPC上のファイル、電子コミュニケーション、CADファイルといったありとあらゆる電子記録が保管の対象となるが、裁判に突入したあかつきには、これら全部が平等に扱われることはない。電子情報の管理においては、企業は弁護士が最も重視する電子メールに真っ先に取り組むのが賢明だ。ある弁護士は、「電子メールは宝の山」と言っている。社員が普段の口調で文章を書き、しかも重要な書類が添付されているのは電子メールだけだ。弁護士は、裁判に使える有益な電子メールを特定する術を持っており、したがって基本的にはここから調査を開始する。
必須の保管ポリシーは確実に
訴訟を提起される前でも、裁判所は企業に対し、証拠となる可能性のあるデータが違法に破棄されたり、改ざんされたりするのを防ぐように求めている。企業にとって、証拠保全は欠くべからざる最重要保管ポリシーなのだ。過去の記録でも未来の記録でも証拠となりうることから、組織は適当なプロセスと技術を用いて、電子メールやその他の記録が係争中に破棄されないよう注意しなければならない。
プロセスと技術に投資せよ
効率的な保管ポリシー管理を行うためには、新たなプロセスと新たな技術の両方が必要になる。明文化された基準を決め、包括的かつ継続的なユーザートレーニングを実施して、隙のない保管ポリシーを作り上げよう。さらに、違反を検知し、ただちに問題を修正するプロセスも確立しておく。電子メールなどの電子コミュニケーションに関しては、プロセスだけでは不十分だ。数百万から数十億におよぶメッセージを管理する際は、ほとんどの企業がサード・パーティのサービスやソリューションを利用して、個々のメッセージの収集、保管、廃棄を行うことになるだろう。
電子情報は廃棄しにくいと心得よ
言うまでもないが、ボタンを1つ押すだけで簡単に複製できる電子情報は、企業内で永遠に増殖していく可能性がある。例えば電子メールなら、複数のシステムやバックアップテープに存在しているかもしれないので、これらも同時に管理下に置き、複雑な保管ポリシーに準拠させねばならない。あるシステムからメッセージを消去しても、ほかの場所に残っていれば、これは電子情報開示の対象となる。
日本国内の法律やガイドラインは、米国とは異なる部分も多いが、これらの10項目は一般的にも参考になるものだと思われる。ビジネス・ニーズや政府の規制を満たし、なおかつ訴訟リスクを大幅に軽減する保管ポリシーを策定してほしい。それは決して愉快な仕事とは言えないだろうが、今日の情報技術管理者が果たすべき、電子的情報の守護者という新たな役割とは、まさにこうしたものなのだ。
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