日本型経営、そして日本型内部統制
金融破たんのリスク管理
米国の金融破たんは、一体どのように総括されるのだろうか。エンロン、ワールドコム以来、躍起になって引き締めてきたはずなのに、かくもあっけなく吹き飛んでしまうとは、まさに「笑止千万」というほかない。
http://enterprisezine.jp/article/detail/1279
COSOフレームワークで引っ張り、SOX法で世界を席巻してきた米国金融界が総崩れでは、一体彼らの内部統制は何だったのか、米国型内部統制の優秀さを主張してきた方々の意見をぜひ聞きたいものである。
金融ゲームのリスクは、誰の目から見ても明らかではなかったか。住宅産業を筆頭に異常な高騰を見せていたのは大きなリスクを抱えて進んできたからではないのか。世界経済を壊しかねないリスク、米国だけでは食い止められなかったリスクを、漫然と放置した責任は大きい。これを防止できなかった米国の内部統制は再検討を迫られるだろう。
COSOの有効性
私はかねてから、そもそもCOSOフレームワークはエンロン、ワールドコムの粉飾を防止できなかった代物であったし、外部取締役を導入してもほとんど意味がない、といってきた。現実に米国のいわば生煮えの制度では、コストばかりかさみ、その実はなかなかあがらなかった。
私が主張してきたのは「日本型内部統制」というもので、日本的産業構造を前提にして、業務の流れを精査して、従業者が安心・安全に業務を遂行できる仕組みを形成することが重要である、ということである。当たり前だが、我が国の会社のステークホルダーは誰か、を考えればおのずと出る結論でもある。
もし私が米国人であれば、米国型の合理的内部統制を主張していたと思う。おそらくは株時価総額制のみに依存することのない、実生産主義に基づいたリアル価値を基盤にすえた制度設計をしたはずで、もしそのような制度設計であれば、かくももろくは崩れてゆかないのは、明らかなのである。
我が国の会社法も、大改正で米国型に大きく舵を切ってしまった。我が国における会社の意味を変質させるような改正であり、私としては大変恐ろしい思いでいっぱいであった。しかし、現在までのところは、日本型を残しつつ、ある意味手堅く進んでいる部分もあるように思う。
日本的経営とは
最近の報道ではビジネススクールの学長や研究者が、日本的経営に学べ、といっているという。日本型の終身雇用と年功序列制度は、安定した産業構造を作り出しており、これこそ見本だ、というわけである。
我が国の企業のステークホルダーの第一は従業員だといわれる。米国では、一にも二にも株主であることに何の疑いもない。我が国は違う。株主も大事だが、従業員、そしてそれを支える家族が重要とされる。さらに資金を提供しつつ経営を監視する金融機関や債権者もまた重要なステークホルダーとされる。
日本型内部統制をめざして 米国の企業が投資効果の高い利益の拡大再生産組織であるとすれば、我が国の企業は生活と文化の拡大再生産の組織といえる。護送船団と揶揄されるが、それでも関連企業を含めれば膨大な労働を保証し、着実な生産を確保し、地域の活性化に欠かせない存在となっている。
株価こそ、飛躍的に爆発はしないが、常に安心と安全を提供してきたはずである。 こうした企業の違い、文化の違いにもう一度目を向けて「日本型内部統制」、日々の業務の改善で進める手堅い内部統制こそ、本当の企業のためになる内部統制であることを理解していただきたい。
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