内部統制を作るんじゃない、内部統制で、作るんだ
まだ、アメ車がほしいのですか?
内部統制構築が進んでいるように見えても、まったく機能していない、というのが昨今の企業の実態でしょう。きれいな絵は描けたが、なぜか回らない、そんなぼやきが聞こえてきます。内部統制報告で及第点が取れるかどうか、大いに心配されているところです。
http://enterprisezine.jp/article/detail/1184
ここ数年、COSOフレームワークだの、J-SOXだの、米国直輸入の概念が喧伝され、企業の担当者は「知らぬは恥」とばかりにそれらに振り回されてきました。その姿を見ると、戦後、米国のクルマ、クーラー、カラーテレビの3Cにあこがれて、必死に追いつこうとした姿とダブってしまいます。
米国には米国の事情があり、米国流の対応をしてきました。ドイツやフランスなどのヨーロッパ諸国にもそれぞれの事情があり内部統制とは少々異なるガバナンスシステムを導入しています。
この点金融庁も、八田先生も実に明快に「日本型内部統制を作るべきだ」といい、米国SOX法の直輸入の弊害を指摘し、違いを強調しています。米国の内部統制が、アメ車のような超大型乗用車だとすれば、我が国の内部統制は燃費の良い軽乗用車といった具合です。
でも、アメ車は車庫に入らない?
企業法務、内部統制プロジェクトの面々は、大変素直で勉強熱心です。知らないことがあれば何でも勉強して理解しなければならない、と思っています。
そして米国発の無尽蔵のビジネス提案に翻弄され、頭の中まで米国化しています。その結果、コンサルさんの作り上げた内部統制の図柄を丸呑みして、導入を進めようとするのです。まさにアメ車がいいと信じているのです。
こうして、勉強熱心な方々を中心に米国型「内部統制を作ろう」とするわけです。きれいな図柄の、完成された図柄のとおりの内部統制を作れるものと信じて、まい進しようとするのです。しかし、残念なことにきれいな図柄と現実の姿の乖離が激しく、たちまち破綻します。我が国には到底導入できない代物なのです。ところがすでに社長の同意を得てしまっていますので、強引に命令して、進めるほか無いという訳です。
社長車も軽自動車にする勇気
問題は何を作るのか、という本質論なのです。美しい内部統制の図柄の実現など、おとぎ話なのです。現実はそんな奇麗事で済むものじゃない、それが現実というものでしょう。
われわれが目指すのは、「いまある現実」を変えること。問題が山積する現実を、少しずつ改善すること、そのために「内部統制」というツール(道具)を使いこなして、現実を変えてゆくことなのです。内部統制は目標ではなく、道具だということを、しっかり理解して進める必要があります。
コンサルさんは、道具の使い方、進んだ使い方などを学んでいますから、その道具の使い方を彼らから学ぶべきなのです。主人公はあくまでも自分です。自分が会社を、業務をどう変えるのか、何をどう改善すべきか、を考える必要があるのです。現業に生き、現実の矛盾を知っているからこそ改善の困難性も理解しながら、それでも改善の小さな可能性と方向性を探し出せるわけです。
内部統制を作ろうとしてはいけない。
必要なのは、内部統制を道具として使い込んで、今ある現実をどうやって変えてゆくのか、自ら描く企業の姿はどのようなものなのか、そのためには何が必要なのかを考えることなのです。
軽自動車が合理的なら、社長車も軽乗用車にする、それぐらいの合理的発想で難局を打開していただきたいのです。
スポンサードリンク