アーカイブはなぜ必要か?
議事録やマニュアル、契約書、財務諸表など今ではありとあらゆるビジネス情報がデジタル化されている。しかし、単にデジタル化されているだけでは、管理者や経営者の目のおよばない範囲で、コピーされ、漏えいされ、あちこちに送受信されるだけだ。こうした野放図なビジネス情報をしっかり管理し、さらに再利用するために必要なツールとして注目されているのが、シマンテックの「Symantec Enterprise Vault(以下Enterprise Vault)」である。
http://ascii.jp/elem/000/000/175/175610/
非構造化データ管理の課題とアーカイブの必要性
ビジネスで扱う情報がデジタル化されるようになって久しい。紙の資料を保存するキャビネットが減り、あらゆるビジネス情報がコンピュータの中に収められるようになっている。
こうしたビジネス情報は構造化データと非構造化データの大きく2つに分けられる。こう書くと難しそうに聞こえるが、要はデータベースに保存されている情報と、それ以外の情報と考えればよいだろう。多くの企業では財務・会計情報などは検索可能な構造化データとして、データベースで管理される。データベースに格納された構造化データに関しては、検索可能にするためのインデックスが用意され、さまざまな業務アプリケーションで活用されている。
構造化データと非構造化データ
一方で、我々が日々利用するメールや文書などのファイル、画像や音声などのマルチメディアデータなどが非構造化データである。議事録やプレゼンテーション、マニュアルのほか、機密性の高い財務諸表や契約書、特許情報など数多くの種類のビジネス情報が、PC内のファイルとして存在している。さらにこうしたファイルが電子メールの添付ファイルとして、インターネットを介して、一瞬のうちに必要なユーザーに送り届けることができる。こうした非構造化データは、構造化データに比べてデータの増加が著しい。その一方、管理の手法が確立しておらず、さまざまな課題を抱えている。代表的なアプリケーションであるメールの管理を例に見てみよう。
メールというと、スパムメールやウイルスなどのセキュリティ面での問題を検討事項として挙げるユーザーが多いが、管理や使い勝手、コンプライアンス(法令遵守)といった面でも多くの課題を抱えている。まずはメール自体が分類されておらず、検索可能にするインデックス化も行なわれていない。自由自在に検索ができなければ、大量のメールも意味のない文字列の集まりであり、活用するのは難しい。また、J-SOX法のようなコンプライアンスや訴訟対策という観点では、メールを改ざん不可能な状態で長期保存する必要もある。もちろん、重要なビジネス情報を含むメール自体が情報漏えいを引き起こしてしまう可能性も考えなければならない。さらに、昨今はブロードバンド化の恩恵で、添付ファイルなどメールのサイズ自体が大きくなっており、メールボックス自体が肥大化する傾向にある。そのため、適切なメールボックス管理を行なわないと、操作のパフォーマンスを損なうことになるだろう。
こうした課題を解決するためのツールとして注目されているのが、シマンテックの「Enterprise Vault」である。
バックアップとアーカイブの違いは?
Enterprise Vaultは、Exchangeやファイルサーバなどのデータをアーカイブするツールである。
アーカイブと似たような概念として、バックアップが挙げられる。バックアップとは、機材の障害や災害時のためにある時点のデータをコピーして、別のメディア等に取り置くことだ。ユーザー自身がバックアップされたデータを直接利用することは想定しておらず、データ自体もある時点のスナップショットに過ぎない。一方、アーカイブも過去のデータをまとめて保存するのだが、ポリシーに合わせてインデックス化や圧縮、タイムスタンプの埋め込みなどの処理を行なう。これは単に保存するだけではなく、ユーザーが利用するのを前提としているからだ。
バックアップとアーカイブ
たとえば、目の前に書類の山があるとしよう。バックアップの場合は、この書類の山をまとめてコピーして、金庫に保存しておくようなものだ。本物が破損したり、紛失した場合には取り出して復旧すればよいが、普段は利用するものではない。一方、アーカイブの場合は、たとえば書類にラベルをつけて分類し、キャビネットや倉庫に保存したり、同じ書類は印鑑をついてオリジナルのみ保存する、といったとてもインテリジェントな処理を行なう。
こうした処理により、アーカイブされたデータは単に溜められるだけではなく、改ざん不可能な状態で集中管理される。その一方で、ユーザーや管理者からの検索にも対応し、たとえば訴訟対策の証拠や顧客からのリクエストで該当のメールを素早く取り出すといった作業がすぐに行なえる。さらに、アーカイブされたデータは高度な重複排除技術により、サイズが圧縮されているため、バックアップをとる時間も大幅に短縮できるというメリットが生まれる。
電子メールのアーカイブというと、すぐにコンプライアンス(法令遵守)というニーズに直結するが、実際は死蔵しているビジネス情報を有効活用するという面もある。活かされていないメールやファイルを再利用するためのツールとして、Enterprise Vaultのようなアーカイブツールは現在大きな注目を集めているのだ。
さまざまなEnterprise Vaultの使い方
さて、実際のEnterprise Vaultについて見ていこう。Enterprise Vaultは、アプリケーションのデータベースと、キャビネットや倉庫にあたるストレージとの間にEnterprise Vaultサーバを設置することで、利用可能になる。ストレージは「Vaultストア」と称され、Enterprise Vaultの管理コンソールから設定する。
Enterprise Vaultのアーカイビングは、①アプリケーションデータをリアルタイムにアーカイブする、②スケジュールを設定して、アーカイブする、③クライアントPCにあるメールデータ(PSTファイル)を集めてアーカイブする、といった利用形態がある。このうち自社の用途に最適なものを選択したうえで、管理者がマネージャからアーカイブのポリシーを設定する。これはアプリケーションのデータからVaultストアに移す際にどのような処理を施すのか、アーカイブされたデータをどのように利用させるのか、などを決める作業である。
Enterprise Vault for Exchange
今回はアーカイブとはそもそもなにか?という話を中心に、シマンテックのEnterprise Vaultの概要について見てきた。次回からは、GUIの管理コンソールやクライアントの画面を見ながら、Enterprise Vaultの実際の使い勝手を体験してもらおうと思う。
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